TAKINAMI THEATER

鈴木酒造 / 「水の都 長井」の水で、「海の男酒」を造る

2020.08.01

鈴木大介さん/鈴木酒造
「水の都 長井」の水で、「海の男酒」を造る

【山形座 瀧波の研修で皆で学んだこと】

鈴木酒造

酒は人と人を結びつける力水。

東日本大震災の津波で蔵事流されながらも市況の地で八か月後に酒造りを再開。
家族一丸となって酒を醸してきた鈴木酒造店。その悲願は再び、故郷・浪江で酒を造ること。

浪江時代
近海魚が上がる漁港の酒蔵。平目、スズキなど。

海が時化ると1週間も漁に出ることができない、そのため、塩蔵品も美味しい。

南部杜氏は「海の男酒」、「ビターな旨味」をねらってきた。
魚との相性、アミノ酸の塩梅をよく考える。
酸を柔らかく。
優しい味わいと上質な余韻。
食と寄り添う地味なオールランドプレイヤー。
香りはそう意識していない。

同じ蔵で鰹節も加工してた。だから、鰹節の菌も蔵に住みついていた。
「海の男酒」の特別な秘密。

防波堤のすぐ内側で営んでいた。
2011年、15mの津波が防波堤を越えてきた。

震災後、鰹節の菌も含む代々の酵母が奇跡的に残っていた。
会津若松技術支援センターに預けていた山廃の酛より分離した酵母が残っていた。
「天から雲の糸が垂れてくるような思いだった。藁にもすがる気持ちだった」。

鈴木酒造 長井蔵に移って
水と気候特性を活かした酒造り、やわらかく熟成した酒を造ることをこころがけている。

「水の都 長井」の水で「海の男酒」を醸す鈴木酒造店長井蔵。

瀧波では鈴木酒造店長井蔵の酒を多く提供させていただいております。
その、鈴木酒造店長井蔵のこだわりを紹介させていただきます。

こだわり①

さすが「水の都 長井」、長井の水は特別。
伏流水は上質な軟水でかつ豊富。
通常、1年寝かすことはないのだが長井の軟水はやわらかく熟成していく。
常温でも寝かすことができる。

酒造りには、お酒の30〜40倍の水を使う。仕込み水、割水、洗い水。
花崗岩の下から汲む酒蔵の地下水は十分。
大吟醸を仕込む大事な1〜2月は通常は渇水期なのだが、長井の水は量、水質ともに変化しない、申し分ない。

こだわり②

持続可能な地域づくり
高い契約栽培比率を維持し、地域農業と文化を理解する。

熟成感をより出すために、
原料米に注意を払っている。品種もそうだが、どう作るかが重要。

8割が契約栽培だが、信頼できる農家さんだけと組んでいる。
例えば、畦道、この田植えの時期、赤く変色するのは除草剤の証拠、そんな方には頼まない。減農薬の方でないと。
長井市では、出羽の里、出羽燦々などを作ってもらっている。

契約栽培農家の田んぼがすぐ西に展開しているので、稲が育ってきた水と、酒造りに使う水が同じ水系。

その上流には、1600平方km。ほぼ30km×70kmの日本最大のブナ林が朝日連峰に広がっている。

朝日連峰の花崗岩、ブナ林、豪雪地帯、この条件が長井の水をつくる。
山女魚、蛍、梅花藻が楽しめる。

こだわり③

蒸米
計8回蒸すのだが細心の注意を払っている。
もちろん気圧によって、加水量をコントロールする。

地域に根付いた唯一無二の酒造りを行っている鈴木酒造。

また、これらのこだわりの他に鈴木酒造店長井蔵の酒にはもう一つ秘密がある。
それは最初にも上げた蔵付き酵母。
浪江町で蔵を営んでいたころ、同じ蔵内で鰹節を加工していたことから鰹節の菌も蔵に住み着いてい。
この、他の蔵では行っていないであろう取り組みが「海の男酒」である特別な秘密。

これらのこだわりからできたお酒の特徴

「壽アカガネ」
山廃仕込み、1.5年熟成。アミノ酸が多い。
dancyuで「ベストオブ魚酒」に選ばれたが、実はdancyuの担当者さんが興奮して電話をくださった。「魚だけでなくいくつかの食材との相性でトップを獲った」と。
焼き魚、鶏肉、豚肉に合う。中華にも合うはず。

燗にするなら、壽アカガネ(雄町)は熱燗で、赤身の魚に。
壽(出羽燦々)はゆる燗で、白身魚に。

ゴールデンスランバー
はつらつさフレッシュさを楽しんでいただきたい。生野菜にも合う。

今後、黄金蜜酒(本みりん)から砂糖を作る。淡い味わい。
グルコースが和三盆に近いと分析されている。

飯豊町、道の駅 いいで めざみの里の雪室、2〜4度の中で純米酒を10年貯蔵している。これまた楽しみだ。

鈴木酒造さんに喝采!

以上です。

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