深い褐色の木肌と、強固な様をみせる手斧梁。それは座敷蔵を支えてきた証として、月日の重なりをありありと伝える。正面に望む大きな窓は、庭園に宿る四季の移ろいを際立たせる。同じ景色はまたとない。この部屋は、その一瞬の巡り合わせに出会える喜びに満ちている。湯の華と硫黄の香りが舞うヒノキ風呂でも、感じるのは季節が生み出す一瞬の美しさ。特に春の頃。せり出すようなサクラを眺めながらの入浴は、心に残る至福のひと時となる。